虚風証とは内風の虚証で,虚に起因する風動なる故に虚風と称する。
張景嶽はまた非風と称するが,其の症が外風に似ているが,外風に非ずという意味で“非風”と称し,外来の風ではない。
通常は腎水が肝木を涵養できないと,肝風が内動するのを,陰虚風動と称する。然し養肝しても気血不足だと,やはり肝風は内動し,これを血虚生風と称する;古人はこれらを“枯木生風”と喩えており,風陽の例に属する;しかしまた肝腎陽虚による風もあり,古人は陰風や風冷と称する。
虚風が肝腎より起る故に肝腎虚風証が虚風の本病である;然しまた肝木過旺であれば,必ず脾土に乗じて肝脾同病となる,故に肝脾虚風証とは虚風証の合病でもある;若し病勢が遷延して,脾から腎に及ぶと,肝・脾・腎の三臓并発となる。つまり脾腎虚風証とは,虚風証の并病である。
虚風証の多くは陰虚や水不涵木から起る,故に其の治則は総て滋陰柔肝を以って熄風すべきである。然しまた風木乗脾となれば,必ず気血を傷つける,故に益気養血の法も少くはない。古人が云うところの治風には先ず治血を,血行れば風自ら滅す,と謂うのが此れである。如し腎臓にまで損及すれば,腎は水火の臓だから,腎陰を耗傷するだけでなく,腎陽もまた損傷することは免れ難い。故に温養腎陽もまた平熄内風の法となる。
総じて風は虚より起り,補虚しなければ風は熄まない。気・血・陰・陽の失調が,虚風の源である。張景嶽は謂う:“空穴来風”,其の空穴を填塞すれば,風は起らない。(表44)

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