風陽証とは内風病証,すなわち体内の陽気偏勝の一つである。陽気亢盛,陽亢は風動に,風は内より起るので内風といい,合せて風陽と称す。
其の病いは肝より発することが多い故に通常は肝陽・肝風と称し,肝胆風陽証が本病である。
肝陽亢盛なれば,上では心陽を激動し,下では腎陽を挾持し,且つ心陽が内動すればまた肝陽をも触動する;腎陰が不足すると,肝木を涵養できず,また肝陽は偏亢する。故に心肝風陽証と肝腎風陽証が風陽証の合病である。
肝陽偏盛から心腎陽亢が引発されると心腎風陽証を形成し,肝・心・腎 三臓の并発証となる。風陽証の并病は,本虚標実夾雑の証が多い。
風陽亢盛は情緒や人事などの生活環境と相関することが多い:たとえば情懐不遂・鬱怒・暴怒・思慮過度や嗜酒及び肥甘過度,平素の操労太過,房労失節などで,中老年期に多い;また妊娠中や小兒の肥甘炙烤の過度からくる積熱助陽もまた風陽の証となる。たとえば妊娠子癇,小兒の急慢驚風など。此の外に熱病の后期で,過汗過下や久熱による陰液の傷及もまた陽亢風動の風陽証となる。
肝陽偏盛,陽亢風動の風陽証は何臓に拘わらず,其の治則は総て清鎮潜降の品にて平陽熄風すべきである。外風を治す法で疏散を投じれば,反って升陽動陽の弊となる。然し若し外風が内風を引動する証であれば,又 別論である。(表43)

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