暑湿証とは、暑邪が湿を伴う証である。暑は陽邪であり、本来は湿を伴わない。『経』に「天においては日、地においては暑」とあるように、暑は熱邪である。盛夏の天候は酷暑であり、熱が蒸し湿気を動かし、地気が上騰する。
人は気交の中にあり、暑熱を吸い込むと同時に湿気も吸い込むため、「暑は多くは湿を挟む」と言われる。地気の中には穢濁の気が多く、湿と共に蒸騰するため、暑湿の中には穢濁の気を兼ねていることが多い。暑の気勢が強いものを「暑穢」と呼び、湿の気勢が強いものを「湿濁」と呼ぶ。梅雨の時期に発症するものを「霉湿」と呼び、俗に「痧穢」と呼ばれる。
暑湿の気は口や鼻から侵入し、鼻は肺に通じ、口は胃に通じるため、暑湿が体内に入り込む際は必ず肺や胃から始まる。故に、肺胃暑湿証は、暑湿証の本病である。もし暑湿が肺胃から下伝して脾に入ると、肺脾、あるいは脾胃の同病となるため、肺脾暑湿証、脾胃暑湿証を暑湿証の合病とする。暑湿が中道を直行し、三焦に流布して膜原に結集し、胆中の木火と併されば、胆胃暑湿証となり、これが暑湿証の併病である。
暑湿証は、多かれ少なかれ穢濁の気を併せ持つため、その治療の大法は、総じて清涼淡白な薬を用い、清暑化湿を法とする。特に湿邪の宣化を主とし、湿は氤氲たる邪であり、粘膩で解き難いため、暑が湿の中に蘊伏している場合は、必ず湿が開いて初めて、暑熱が透達して解消されるのである。したがって、暑湿を治める際には、過度に寒涼・氷伏の薬を投与してはならない。そうすると湿は治まっても熱は依然として透達せず、必然的に内へと、病変を生じることになる。
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